欲しいと思ったらどうするか
何かが欲しいと思ったら、誤解を恐れずに言いますと、買うのではなくこっそり作ってみるのも健全じゃないかなと思います。まあ、真似だったりしても。
Youtubeより|Kaseo「ファミトロン」
在りし日、かの有名なファミトロンを見て、なんじゃこりゃ!面白い、かっこいい、欲しい!と思ったわけですが、私の場合そのとき、強烈なリスペクトから「金出すからちょうだい!」てのは失礼に値すると思い、また、「つくりかた教えて!」てのもありえないと思いました。
じゃあどうするか。自分で中古のファミコン買ってきて、こっそり作って見ようと思いました。ずいぶん前の話です。
当たり前ですが、そんなに簡単にいきません。覚えてるだけで10個近く、壊してしまいました。でもそんな中、生きさらばえているサーキットベンディングしたファミコンは今数えたら、17台あります。でもどれもこれも、ピッチベンドはできるが、映像が映らなかったり、すぐ白黒になったり、ただの砂嵐だったり、なかなか思うようにいかんわけです。
まるで死んで覚えるゲームのように、幾多のしかばねをこえてできた最新作のサーキットベンディングしたファミコンは、以下です。自作のギターを家で弾いてる動画みたいなもんだと思って見てください。
CIrcuit Bent Nintendo FAMILY COMPUTER | PINBALL
CIrcuit Bent Nintendo FAMILY COMPUTER | STAR FORCE
Circuit Bent Nintendo FAMILY COMPUTER | 高橋名人のBugってハニー
いや〜下手くそですね、演奏が。ギターでいうとコードすらまともに弾けていないような感じですが、
わたしの気分は最高です。
それこそ、ファミトロンのライブを見に行って、使っているソフトも研究をしましたが、それは全然あてにならず、自分がベンドしたファミコンはまた、別のソフトが相性が良いということだったりします。もっと研究を重ねて、全然別の音や絵が出るベンドしたファミコンを完成させたいものです。
結局、欲しいのは「もの」ではなく、なんかこう「体験」みたいなものだと思います。
カシオのデジタルギターをベンド
カシオのSAシリーズなどはサーキットベンディングの素材としてよく知られていますが、私がサーキットベンディングにハマったきっかけでもあるこの、CASIOのデジタルギターDG7は、かなりすごいグリッチをしてくれます。
サーキットベンディングというと、ピッチが変わったり、変な音がする「おもちゃ」というイメージがあったのですが、このDG7のおかげで「電子楽器」のほうが面白いと閃くきっかけになりました。電子ギターは、自分としてはおもちゃと電子楽器の橋渡しだったわけです。
まるで2000年代のオウテカのような、めちゃくちゃな音がずっとなり続けます。これはひょっとして、本人たちもこの手法で作曲してたんじゃないか?と思い、聴き比べて見ましたが、こんな曲一つもありませんでした。
これは、2年ほど前に撮影しDG1という旧型のギターのサーキットベンディング中の動画です。私の場合は、一つ秘孔を発見したらそれで満足なので必要最低限のスイッチしかつけていません。
「養老・アートピクニック」
ピカルミンやファミトロンのKASEOさんと、バグシンセの中田粥さんとこの私がB3 ベンダースリーというユニットを組み、ライブパフォーマンスを2日間に渡って行います!KASEOさんは、私のサーキットベンディングの大先輩。中田粥さんはいろいろなメディアでその名とパフォーマンスを拝見しており、今回ご一緒できるのが非常に楽しみ。
以下、公式ウェブサイトより
既製の電子玩具や電子楽器などをハッキングし、独自の楽器を新たに産み出す「サーキットベンディング」。国内でこの手法を用いた演奏活動をしている3人のアーティストが、テントという非日常的な空間で非日常的な演奏行為を延々と二日間に渡って行う音楽実験です。
サーキットベンディングの世界に触れ、その異常さ・面白さ・可笑しさを伝えるプログラムです。
B3 ベンダースリー
剥き出しにされた電子楽器の回路基板を積み上げてショートさせる演奏スタイルで活動中の中田 粥、和太鼓と缶カラ三味線とサーキットベンドという異色編成のバンド「世紀マ3」のメンバーとしても活動中の谷浦朋文、数々の悪夢のような魔改造楽器を駆使したライヴを展開するKaseoの3人のサーキットベンダーたちによる今回だけのスペシャルユニット。
ジャミネーターにはファミコンのカセットが挿さる、という話
「部分的に音は鳴りましたが」と書いてあれば、完動品よりもむしろベンドしたくなるものです。このジャミネーターは、部品どり用としてヤフオクに出品されておりました。
ちなみに、このジャミネーターを手に入れるのに初めてヤフオクというものを利用しました。今までは、オークションというとDiablo3のオークションハウス(大昔に廃止)しか利用したことがなく、なんか仕事中も見張ってないと欲しいものが手に入らないイメージがありました。
全然そんなことないですね。ジャミネーターはじめ、サーキットベンディング用に電子楽器買うのとか、誰も興味ないんでしょうか。1000円ですんなり落札できて驚きました。
また、その後ゲームボーイ2台セットとかいうのも500円スタートで、なんか知らんがどんどんつり上がってくんだろ〜な〜と適当に入札していくと、これも1000円で落札できて普通にテンションあがりました。沼にハマったという自覚がはっきりあります。逆に今までは全てハードオフで手に入れておりました。
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Roland TR-626をサーキットベンドした時の話
以前とあるハードオフで決して安くはなかったものの箱とマニュアル付き(わたしは要らない派)でジャンク品として売られていたものを手に入れました。しばらく遊んだあと、ふーん、と思ってベンドしました。
このくらいメジャーなモノとなると、海外でのベンドレシピがいくつかあり、参考にさせていただいたのはBURNKIT2600でした。この手のドラムマシンにありがちな
・ディストーションが乗る
・フランジャーぽいのが乗る
・ピッチシフトする
・その他ノイズが乗る
といったポイントが紹介されており、それを見ながらスイッチをスタスタとつけて行きます。
一旦仕上げたのですが、ベンドというより音色の改造といった雰囲気で、可変抵抗でピッチベンドとかもしたいのう、と思い、Circuitbenders.co.ukのTR-505のベンドのレシピを掘り当てました。
ここで、全然回路が違うので参考にならんな〜と思いつつも、今ではよくつかう発振器LTC1799というものの存在を知ります。多くのドラムマシンについている、ちっちゃい缶詰みたいな部品の片足にこの発振器を取り付ければ、うまくいくとピッチベンドがほとんどの場合で可能です。失敗すると発振器LTC1799から煙が出て死にます。
この発振器につなぐために、テスターを使えばイイのですがめんどくさいので、本体についている適当なICを画像検索 したりして、GNDと5Vを探します。可変抵抗は周りの抵抗とかオシレータの型番見ればなんとなくぴったりのものがわかるのでしょうが、ここまでくるとやはりめんどいので適当に面白い幅が出るものを取り付けます。今回は意外と少なめの22KΩのAカーブの可変抵抗をつけました。
調べたところTR-626は1987年のドラムマシンらしいです。まだまだベンドしやすい部類ですがこのあたりから例えばカーボン抵抗が小型化してきます。90年代のモノになると途端にベンドの難度が上がって来ますが、内蔵エフェクターなどを備えたドラムマシンは、グリッチがしやすく魅力的でもあります。
サイバーマン+ピカルミンができるまで
この、なんかすごいヘルメットには畏れ多くもかのピカルミンが仕込まれています。本体のヘルメットにもほんのりサーキットベンディングを施してあり、ピカルミンとこのヘルメットのボイスチェンジャー+謎の声が、イイ具合に混ざってなかなかの仕上がりとなりました。
このヘルメットは「サイバーマン」という、イギリスの長寿ドラマに出てくるショッカーみたいなキャラのおもちゃで、そのサイバーマンも何代にもわたるいろいろなデザインがあっておもしろい。
とあるネットの楽器屋が輸入しているのをみて知り、高いな。。。とおもいながら、いろいろ見ていたわけです。するとその楽器屋のサイトに作者の名前が書いてあり、どうやら作者はbogusnoiseさんというイギリスの人だというのを知りました。本人のサイトを見て、これはすごいな〜と思っていると、eBayと書いてある。
どうせ買うならこっちからかな〜、でもeBayって日本からできるんかな?よくわからんな〜でも先輩が作ったものの中身見たいしな。と思ってページの下を見ていくと
こんなかんじで、ぞろぞろあるわけです。しかもなんか2〜3,000円くらい。JPYとか言って煽ってくる。送料入れても5,000円くらいか?。。。これはいっちょ、買ってみるかということで、TooPureRecordsで買い物するためだけにとったPayPalを駆使し、買ってしまうことにしました。
そして3週間ほどしたでしょうか、パイナップルの箱に入れられたサイバーマンのヘルメットが届きました。bogusnoiseさんでもできたんだから、自分もできるはず、というまるでヒマラヤ登った人いるんだから自分も登れるはず、と言わんばかりに無謀なベンドジャーニーへ突入します。完成するまで後戻りはできません。
左の顎らへんに3つスイッチがあり、それぞれ台詞をロボ声で喋ったり、1つのボタンは、押すとマイクを通してボイスチェンジャーとしても使えます。それだけのおもちゃですが、何もしなくてもインパクトは十分にあります。
ところで、基板についているのはやはりチップ抵抗でした。指をペロッと舐めてツンツンするピッチベンドのポイント探しをすると難なくベンドポイントを発見、すかさずチップ抵抗を付け替えます。
チップ抵抗を外すときは、基板のプリントも焼き切ってしまうことがよくあるのでハンダを溶かしてすかさずこて先で除去します。たしか500KΩくらいだったっと思いますが、可変抵抗に変えて無事、謎の声のピッチベンドに成功。あとはフォーンジャックをつけました。ですが、bogusnoiseさんのサイバーマンヘルメットのようにいろんなポイントは発見できず、これ以上は壊してしまう、と判断し、一旦完成としました。
しばらくはいいモノができた。と満足していたのですが、ピッチベンドだけってのはなんか寂しいので、、、もっといろいろできないかと考えているうち、家に2匹いるピカルミンのことを思い出しました。この見た目でピカチュゥ〜って鳴いたら面白いだろうな〜とおもい、すでにサーキットベンディングでもなんでもないとは思ったけど、1匹の中身を移植したろと閃きました。
そしてピカルミンをグパァと開きます。
ものすごく丁寧な作り・・・一つ一つを確かめながら、パーツを外してゆきます。外しながら、いろいろなことが閃きます。
・ピカルミンの目のLEDをヘルメットの目のところに入れたろ
・サイバーマンのボイスチェンジャーとの切り替えスイッチつけたろ
・いや、声のミックスできんやろか
・2連続で可変抵抗つけたろ
ここからは手に汗握るのですが、基本的にへんなところをショートさせなければ滑落死はなかろうということで、スタスタとベンドを施します。ピカルミンにも罰当たりなMODをかまして、どこをどうやったか忘れましたが、スピーカーを共有するので、とにかくサイバーマンの中にピカルミンが寄生してるような、とんでもないのが出来上がりました。演奏がかなり難しいです。
かぶると、こんな感じです。スピーカー内蔵で、かつ電池駆動するため、かぶったまましゃべることもできるし、ピカチュウの声で鳴こともできます。シールドを挿してアンプにもつなぐこともできます。写真はMakerFaireTokyo2017にて、かぶっているのはわたしです。
音痴ファミコン互換機を改造した時の話
Twitterでみかけて、なんじゃこれすげ〜自分も欲しい、と思って探しました。結論から言うと、モノとしてはFC TECH+が音痴ファミコンです。話題になったFCモバイル88てのも音痴ファミコンです。うまくいくとハードオフのジャンクコーナーでも500円くらいで手に入ります。
いくつかのソフトで音程がはずれるようですが、ドラクエシリーズがかなりイイ感じにずっこけます。互換機はコンパクトだし、コントローラーも連射機能が付いているのですが、どうしてもウソくさい感じが気にくわないです。
ある時、純正の本体に入れられないかと閃いて、バラしてみると、なんと、下の写真のように互換機のカートリッジコネクタの両端が純正のケースのネジ穴にぴったり合う。そのほかの基板もケースの手前と奥に、ネジ一点どめにはなるものの固定することもできるではないですか。しかもフラットケーブルもこうなることを想定していたかのような長さ。すげ〜〜
後ろはこうなります。ACアダプタ用のコネクタもぴったりの位置。基板に付いてるオーディオとビデオのピンの位置にドリルで穴を開けます。電源スイッチは純正ケースのものを使えますが、リセットボタンは面倒だったので、純正ケース側は裏からグルーガンで固定し、スイッチ自体は自分で後ろにつけました。
なお、基板はあくまで互換機。6VのACを使います。間違えて純正の9VのACを使ってドラクエをすると、
なんかすげ〜。これ自分がリアルタイムで持ってたら絶対人気者になれたのに。。。
読めるでしょうか。台詞もすごい。ですが、そのあと電源が入らなくなりました。(その互換機は壊れました。)
この改造のポイントは、互換機を純正のケースだけではなくコントローラーも使おうと言うもの。この素晴らしい記事やこの素晴らしい記事を参考に、なんかすごい人おるな〜とおもいつつ下のようにいろいろ試すと、まさかと言うか、やっぱりと言うか互換機を純正のコントローラーで動かすことができるようになったのです。
こうなると、ただの互換機を純正のケースに入れるだけで、AV改造キットを導入したファミコンと遜色ありません。運悪く音痴ファミコンさえ引き当てなければ。
音痴ファミコン、なんというか、レディ・ベンドとでも言えばいいのか、すでにベンドされてモノとして流通しているこのすごさ、
ちなみに、ファミコン純正の基板とちがい、互換機の基板は適当な作りなので非常にデリケートです。ベンドの秘孔を見つけてスイッチをつけても安定せず、すぐ壊れるので、サーキットベンディングにおいては難度が非常に高いです。まだ成功していません。