My music instruments hacks & circuit bent collection

2007年ごろより東海地方を中心に現在も活動中の、楽しい和太鼓と缶カラ三味線とサーキットベンドのバンド 「世紀マ3」のサーキットベンディング担当です。 ライブで使う楽器をGoogle Photoに全て掲載しているほか、一部の楽器の制作過程をYoutubeでも公開しています。 モノが見たい、など問い合わせありましたら、Twitterへお願いします。

子連れでMakerFaireKyoto2023に出展した話

4年ぶりの開催となった、MakerFaireKyoto2023に参加してきました。今回は、我が子と妻合わせて3人での参加となりまして、まさに家族で展示するというところのチャレンジで得られたことがたくさんあり、そのあたりについて語ろうと思います。

自分の展示はどんな展示だったか

自分の制作活動の性質上いかに多くのものを作り続けているかを伝えたい思いがあったのですが、毎度、持って行きすぎて、持って行ったものの満足に机に並ばず、結局誰にも見られることがなかったといったことが続いています。 そこで今回は目玉となる展示を、昨年のMakerFaireTokyoで発表した「サーキットベンディングした基板を水槽に入れたもの」(名前はまだない)と、例のサーキットベンディングしたゲームボーイ群と、昨年作った作品などに厳選して臨むことにしました。

サーキットベンディングしたゲームボーイ群は実を言うと昨年のMakerFaireを最後に、メインで展示しないつもりでいました。しかしどうにもブースのウケがよくなく、予備で持ってきた(そのあたりがそもそもヒヨっている)いくつかを緊急発進させたりなど、結局言いたいことがよくわからない展示となったことが反省点としてありました。というわけで今回は開き直って、またもう一度サーキットベンディングしたゲームボーイを名刺がわりに展示し、新しい「サーキットベンディングした基板を水槽に入れたもの」を展示するという方向性としました。

アメリカンフェンス

以前から、大量のサーキットベンディングしたゲームボーイを壁面で展示したいという漠然としたイメージがあり、有孔ボードをつかうことなどしばらく思案をしていたのですが、どうにもゲームボーイの背面にたとえば穴を開け、ボルトで固定することなどには抵抗がありました。そんな中、ホームセンターで見かけたフェンスに目が止まり、ゲームボーイの裏蓋に穴を開けて、フェンスに結束バンドで固縛するという方法を閃きました。なお、穴をあける裏蓋は、aliexpressで互換品を安価(30円〜)で大量に購入し代用しました。アナーキーな雰囲気も出てとてもよろしい。

ちなみにチャイルドシートを乗せた状態でこのフェンス3枚を載せようとしたところそのままでは載らず、フェンスでの展示を前日の夜の時点で諦め、床面にたくさん並べる方法に切り替えようとしていました。しかし妻からの「無駄なものは省いて、フェンスの展示をすべき」という叱咤激励を受け、フェンス2枚分は会場現地でゲームボーイを装着する計画とするなどしたうえで、ものの数で圧倒する展示を避け、サーキットベンディングしたゲームボーイの壁を作るという当初の方向性に立ち戻ることができました。家族のおかげです。

なお、このフェンスはアメリカンフェンスと呼ばれており、搬入の際にもオライリーの田村さんに、アメリカンフェンス(というワードがスッと田村さんからでてきた)はいわゆるMakerFaireらしい世界観も出ていると、注目、感心していただけて、妻のいうことを聞いてよかった、と思いました。はい。

何を伝えようとしたか

これらは何かマイコンを仕込んでおかしな音を出しているわけではなく、基本的にただショートさせているサーキットベンディングというものであること、サーキットベンディングについて、私が発明したことではなく、自分もやってみたいと思ったことがきっかけだったこと、世界中でやっている人がいること(まちがえて世界中の人がやっていること、とひとりの若者に言ってしまい言い直しました)のほか、電子工作といっても敷居は低く、楽器はモノとして成立させやすいことなどの説明をしました。

また、こうしたMakerとしての活動や表現は自分にとっては美術やデザインとはまたちがう世界であり、MakerFaireやMakerムーブメントによって美術やデザインが出自である自分にとっての「シュミ」であることへのネガティブな印象、コンプレックスが改まったきっかけとなったことなどをお話ししたりしました。このあたりはおもに美術家やデザイナーとお見受けした方との会話の中で、積極的に話題にしてみました。

家族での出展

家族での出展ということで、私だけでなく妻も疲れることはわかっていたのですが、決して子どもを連れていくということは足枷でもなんでもなく、逆にコミュニケーションをとるうえでとても効果的でした。同世代の子どもをもつ方とはもちろん、子ども連れの方がMakerFaireに足を運ぶ意図などとてもよくわかるようになりましたし、そのための自分の説明にも工夫が求められました。家族のおかげです。

ちなみに、MOBIUM(入口のバスのオーナー)の河村くんも、おぎモトキさんも今回家族全員で参加されていました。うちの子ども(2歳)にとっても、他のブースで同世代の子どもと関わることは、とても良い体験になったはずです。

また、こちらが家族連れであることは、来場者の方にとって自分は何者であるかの説明の一助になってくれました。プレゼン、登壇時の資料の最初の方に、家族構成や写真を入れる、アレです。家族がいなくても別の方法で何者かを伝える方法は山ほどありますが。

あと、なぜか妻による説明の方が食いつきが良いです。なんだか悔しいですが、その点でも大いに助けてもらいました。 家族での出展は、搬入出含め展示における助け合いだけでなく、家族でMakerFaireを同時に楽しめるというメリットもあり、一人での展示とは違う有意義なものとなりました。

4年ぶりの懇親会

今回のMakerFaireでは、とても久しぶりに懇親会が開催されました。MakerFaireの懇親会はとても面白いです。たとえばですが、今回初めてお会いした自動制御ロボの製作をされている山口さんのポケットから、超音波浮揚実験装置なるものが出てきたり、他のテーブルでも同じような事件が多数発生します。うっすらバズりました。

また、作品の話だけでなく、普段何をされている方なのかや、どういった大人になりたくてどういう勉強をしてきたか、子育てとの両立や、仕事が忙しくてもどうやって時間を捻出しているのかなど、作品の周辺のことを聞いて回るのも参考になります。事実、これまでも懇親会をへて距離が縮まったMakerさんもたくさんいます。懇親会はとても有意義です。

総括

懇親会の復活や、家族での出展であったことに加え、幸いなことに知人のほか、以前から会いたかった有名人の方も家族で訪問いただいたりなど、昨年のMakerFaireTokyoよりもとても得るものがありました。 初日の後半から雨が降り始め、2日目も小雨が降っていましたが、会場前には4年前同様の行列もできたり、京都でも静かなところであるにもかかわらず多くの人出でした。会場で売られていたお弁当とサンドイッチ(お店の名前忘れた)も、とてもおいしかったです。

写真はMakerFaireKyotoの帰り、甲南PA上りで休憩したときにルームランプに照らされた愛車の後部座席です。