MakerFaireTokyo2018でのサーキットベンディング展示風景
先日、2度めのMakerFaireTokyoへ参加してきました。
当日来れなかった人のために、今回はその時の写真をお見せします。
思えば2016年のOgakiMiniMakerFaireにふらりと立ち寄り、いろいろな作品を見るうち、バンドで使うための家にある楽器もまあ自作の楽器だよなと思いたち、あくる年のMakerFaireTokyo2017に応募したのでした。
応募時はとにかくたくさん楽器を作っていることと、サーキットベンディングはおもしろいのだということみんなに伝えたいということ書き、結果を待ちました。はじめての出展承認のメールを頂いたときはそれはもう嬉しかったです。
こちらは昨年の展示風景。
ゲームボーイはまだ10数台しか持っていませんでした。ライブの応募もしたのですが、そちらは落選。それでも訪れる人に自慢をし続け、いろいろな有名人とも知り合うきっかけもできた、とても有意義な出展となりました。
そしてこちらが今年の展示。今年は、キャッチーなおもちゃを机に載せて、こどもの気を惹こうと企てました。なんでも触ってもらっていいことにしたので、まあ、たまに落っことされたりしますが、別にどうってことないと思ったし、どうってことありませんでした。
ギターやドラムマシン、シンセサイザーは机に載りきらないので、見たいという方がいれば出して試奏してもらおうとしていたのですが、結果から言うとそういうチャンスもないほどこどもに囲まれチャイムやら正義の味方やネコのキャラクター、パトカーや汽車をたくさん触っていただけました。あまりにも小さいこどもには、サーキットベンディングというよりただのおもちゃコーナーとしての印象しかなかったかもしれませんが。
奥の方にせっかく持ってきたカシオのギターやら、ドラムマシン、ジャミネーター4本やらが見えます。ギターは適当にならし続けていました。
親御さんには、とりあえずどういう展示なのかを理解していただくのにチャイムが大活躍でした。既存の電子機器の出す音がサーキットベンディングによって変化するというのがシンプルに伝わりました。
そして今年はついに、サウンドステージでライブをさせて頂く機会に恵まれました。
ゲームボーイ100台のインパクトがすごすぎて、ドラムマシンの音をゲームボーイと勘違いされたかもしれません。
以下は海外から来たこどもが撮ってくれた動画です。ゲームボーイによほど感動したのか、あとでいろいろ聞かれました。手ブレしまくってますが自分が撮った動画よりかっこよかったので紹介します。(1つ目の動画はドラムマシン、2つ目以降の動画がゲームボーイの演奏です。)
その後は、机に載りきらないのならと、少し机を下げて床において並べてみました。遠目から見たらバックライト付きゲームボーイをたくさん持ってる変わり者ですが、そこはちゃんとノイズが出ていることをデモンストレーションし、ただのゲームボーイではないことを集まる人に説明しました。
近くでみると、画面のリフレッシュのラインの動きが楽しめます。アンプラグドでも本体のスピーカーからの音が何層にも重なって涼しげな音が出てたんじゃないかなと思います。しばらくずっと見てくれてる人もいてくれました。
他のブースもごく限られた時間まわることをしましたが、どのブースでも、シンプルに一つのことを熱く語っているブースが多かったですし、そうした展示はやっぱりわかりやすくて、感心させられました。何か実現しようと思ったときに誰かが作ってそれを買うとかでもいいですが、そういうのを待たず自分でやっちゃう人が増えてきているし、今やれるようになってきてるはずです。MakerFaireは、自分でやってみようという気になる、とても良いイベントだと思います。
サーキットベンディングにおける寄り道と事故
ゲームボーイのサーキットベンディングは、ある程度「やり方」を自分でつくって、それに沿った上でいろいろ寄り道をしてみたいという思いで続けており、現在100台を超えました。
その中でいろいろ試しているのがノイズ発生のスイッチにトグルスイッチではなく他のスイッチを採用して使用感を変えてみたりなど、スイッチのバリエーションです。特に最近ハマっているのはこのメカニカルスイッチ。
安物のモーメンタリ(押している間だけON)スイッチでは出せない贅沢な押し心地が味わえます。
使っているのはこのCherry MXキースイッチ(茶軸) というもの。真っ白のキートップとセットでAmzonで売っていたりします。
スイッチを入れっぱなしでピッチコントロールノブをぐりぐりやるのも楽なんですが、やはりスイッチを押したときだけ音が変わるという単純な機能も、楽器らしくて良いですし、このキーボード用のスイッチというものを選択する事で遠目に見ても異形感(キメラっぽさ)がなんとなく出ます。
人の手で作っていく中で、全く同じものを作るというのは誰にでもできる事ではないとおもうのですが、少しずつ違ったものがたくさんできていくのもそれはそれで面白いです。
ほかには、初代ゲームボーイ特有の液晶のコンディション(縦線、横線などの不具合)を活かして、映像のグリッチを楽しんでみたりしています。
初代ゲームボーイの縦線についてはモッダーの皆さんは先人の知恵でもってあらゆる手を尽くして直すのですが、サーキットベンダーは逆にブチこわします。
具体的には液晶の裏のハーネス接続部のハンダをあえて外したりして、映像を乱れさせるわけです。この発見は、バックライト装着時に液晶を浮かせた際、勢い余って全てちぎってしまい泣きを見て、、、拙いハンダ付けで直してみたもののうまく映らなかったのですが、なんかバックライトで照らすと綺麗だな〜とおもって開き直ったのがきっかけです。
いくつも作っていると、寄り道していろいろなものが試せたり、慣れた道でも事故から新たな発見が生まれたりするわけです。
なおこれは壮大な寄り道の結果、引き返す事ができず生まれたキモいサーキットベンディング・ゲームボーイです。作り方はドリルで穴を開けるだけです。
Maker Faire Tokyo 2018 に出展します
今年も、MakerFaireTokyoの選考、通過しました。「急所が自慢のサーキットベンディングした電子楽器たち」を出展します。
そもそも私は誰なのか
電子楽器や電子機器の「サーキットベンディング」に情熱を注いでいます。サーキットベンディングした電子楽器と、それらから出てくるヘンな音を皆さんに披露したくなり、昨年に続き、今回も出展を決意しました。
出展内容
自分だけの楽器がほしくて始めたサーキットベンディング。思いもよらない挙動や、信じられない音がする数々の電子楽器を披露します。あらゆる急所を選りすぐった、最新作のドラムマシンや電子ギターや、たくさんの携帯ゲーム機の音と光。フツ―の改造とはひとあじ違う、それらの展示と実演を行います。
出展予定の作品
CASIO電子ギター 3本、JAMINATOR 3本、ドラムマシン10台、電子チャイム10台、ファミコン10台、ゲームボーイ100台、その他 幅78.5x奥行37x高さ32.5cmのコンテナ4つ分相当の自作電子楽器やおもちゃ類
出展カテゴリ
ミュージック/サウンド
写真や動画
https://photos.app.goo.gl/7TlrboAnw1OqEDew1
https://photos.app.goo.gl/fWGx1N59Cd4rZRJt1
https://goo.gl/photos/X63RbeZ7aSwp7zxK7
https://www.youtube.com/watch?v=i5lkFfx92YY
https://www.youtube.com/watch?v=2pc3UCtDrUo
https://www.youtube.com/watch?v=rZoJT5R1kig
前回の反省
自分の作品の自慢に没頭してしまい、他の出展者の方の作品を見る時間をたくさん作れなかったのが反省点です。事前にそうなるまいとは決めていたのですが、今年こそそうならないようにしたいな、と思っています。
あと、これは去年の展示ですが、申請した作品の数は基本的に2倍。ゲームボーイに至っては10倍以上に増えているので限られたスペースでどう展示しようか今考えているところです。
キティちゃんのおもちゃをサーキットベンディング
キティちゃんのおもちゃをサーキットベンディングしました。最近はサーキットベンディングと言うよりピッチMODをたくさんやっています。
元の音が、声だったり、聞き慣れた音であるほどその違いというかギャップが面白いです。
今回は、フォトレジスタを鼻の穴に埋め込み、手で覆うことで光(=抵抗値)をコントロールしようとしました。
ネジどめができない部品は、こうしてホットボンドでくっつけます。
フォトレジスタのみだと光でしかコントロール出来ないので、可変抵抗も直列でつなぎます。そうすることで、フォトレジスタの影響範囲がコントロールできるようになるわけです。
また、ギター用のシールドも繋げられるようにしました。
手に持ったときに、どこにシールドがささり、ツマミとフォトレジスタを手で覆うことができるかも考えながら、穴あけして部品を取り付けます。
最終的な内部はこんな感じ。基板の左下に空いている穴は、ジャックを挿したときに内部と干渉したので穴を開けました。ベンドすることよりもパッケージングするための干渉ポイントを避ける工夫が必要になってくることもあります。
つまみだけだと急激な変化をつけることができないので、一味違う抵抗値のコントローラーとしてフォトレジスタは有効です。
いかがでしょうか。元のメロディが豊かなので、ただのピッチベンドでは味わえない深みが出たような気がしています。
カウンターチャイムのサーキットベンディングをアップデート
エフェクターや、シンセサイザーにも使われているフォトレジスタという部品をつけることで、明るさに反応してピッチの抵抗が変わるテルミンのようなチャイムを作りました。
フォトレジスタは部品のサイズも小さいので内部で干渉する心配が殆どありません。ネジ留めはできませんが、グルーガンなどで裏から留めればしっかりくっつきます。
物によって抵抗値がバラバラですが、このチャイムには500KΩの可変抵抗に直列でフォトレジスタをつなぐことで、変化の幅がコントロールできるようになっています。フォトレジスタ自体の抵抗値の幅はよくわかりませんが、セットで買っても300円くらいで買えるんじゃないでしょうか。
このカウンターチャイムを「チャイミン」と名付けました。
以前から作りためていたサーキットベンドしたカウンターチャイムはシンプルなだけに「もう一声」がほしくなってきます。
そこで・・・ボディコンタクトやループスイッチをつけたりいろいろ試したりもしています。
一度作ったものでも、経験値がたまった後に追加のベンドや改造をしたりするのも楽しいです。ただし、よせばいいのにそうすることで壊してしまうことももちろんあります。
サウンドパフォーマンス・プラットフォーム2018での世紀マ3
2018年2月10日(土)と12日(月)に愛知県芸術劇場小ホールで行われたサウンドパフォーマンス・プラットフォーム2018。その記録写真が満を持して劇場から送られてきました。当日の撮影は、羽鳥直志カメラマンに行っていただきました。
「拝啓、高架下より」のタイトルに秘められた謎とは?和太鼓担当が応募した書類(残念ながら、非公開です。図解入りらしい。。)に描かれた内容は表現できたのか?できる限りの解説とともに、その様子をご覧ください。
世紀マ3が使う楽器は、それぞれが何らかの手を加えて作った楽器です。三線担当の三線はカンカラ三線。程よいサイズのトマトケチャップの缶に三線の棹を取り付けたものです。以前は普通の三線を使っていましたが、このトマトケチャップの缶との出会いから、このカンカラ三線は以降、世紀マ3のサウンドにポピュラリティをうむ重要な役割を担うことになりました。
そして世紀マ3の最大のチャームポイント、問答無用の和太鼓。これはさすがに手作りではありませんが、台についてはこだわりが表現されていると思います。よく見ると撥(バチ)のほかに長い棒も持っています。
和太鼓を取り囲むように作られた堤の中にラジコンを走らせ、ボールや金属などとの衝突音をマイクで拾い、演奏したわけです。和太鼓担当は両手に撥を持っていますが、どのようにラジコンを操作していたかといいますと、足でプロポを操作していました。靴を履いたままだと行儀が悪いので、靴を脱いで操作しています。
先ほどの棒は、ラジコンがつっかえてしまった時に、棒で突っつき、うまいことするために用意したものです。長さが足りなかったので、ガムテープで長さを伸ばしています。段ボールの堤は置いただけだとラジコンが突破して客席に突っ込むので、劇場に許可を得てペットボトルの水を重りとして使い、固定しています。
「レンガとか、もっといい方法あるだろ!!」と前日まで和太鼓担当を問い詰めたのを今では悔いています。害獣よけのペットボトルのようにも見えます。よくこんな強烈なステージ組ませてもらえたな~
シンセ担当(私)は、以前このブログでも紹介したサーキットベンディングを施したカシオのデジタルギター6本と、ヤマハRX7を6台、ペアで並べました。ドラムマシンは同時に6つ操作。ギターは1本しか使わないことにしていたので、予備で5本用意したことになります。
ゲームボーイは、その当時のフル装備、約70台を持ち込みました。140チャンネル分のミキサーなど持ち合わせておりませんので、差し替えたりしながら音を出したり止めたりしていました。およそ同時に10台を超えるとゲームボーイのノイズは何が何やらわからなくなります。
スイッチを順に入れていくわけですが、最後、演奏を終わらせるために一つ一つスイッチをオフにするのも大変です。体を使うパフォーマンスでもあるわけです。
一度にこの数をこの広さで使ったのは初めてで、それなりの数だったはずなのに、「もっと要るな」と感じました。なので、まだ作り続けているわけです。
とにかく三線の音と、私のグリッチ音、さらには和太鼓という難題?にもすんなり応じる愛知県芸術劇場の音響のシステムがすごくて、ただでかい音でやるだけではない、とても贅沢なパフォーマンスができましたし、見に来てくださった方は楽しめたんじゃないかなと思います。
さて。どう真面目に表現しても、なんじゃこれは!意味が分からん!なんで和太鼓と三線とサーキットベンディングなんだ!!と言われてしまうのも当然で、この記事読んだだけで、世紀マ3最高!!とはならないと思います。世紀マ3が何なのかを味わうためには、そのパフォーマンスを実際に見ていただかないと、と思っています。というわけで、機会があれば世紀マ3のパフォーマンスをご覧になってください。
サーキットベンディングできるかどうかを見極める
サーキットベンディングは通常、音の出るおもちゃや楽器で行うわけですが、「どんなものが向いているか?」を見極めるのも大切です。
さて、キーボードや電子ドラムなど、わかりやすいものならいざ知らず、事例もなさそうなおもちゃがサーキットベンディングに向くかどうかを見破る方法がいくつかあります。
どこかにスピーカーが付いている
底面などにも、スピーカーとおぼしきスリットや、穴があれば音が出るおもちゃとみて間違いありません。ただし、ただのビープ音やアラームだけの可能性もあります。ビープ音やアラームのような単純な音でも面白いサーキットベンディングができる可能性はもちろんあるのですが、ピッチベンドやグリッチさせた際、もとの音がメロディーだと、変化がわかりやすくて面白いです。
○○曲入り!などの記載がある
「曲」という記載があれば、音が出ることと、メロディーがいくつか入っていてグリッチするポテンシャルを秘めていることが確定です。
ただし、本体が極端にコンパクトだったりすると、以前記事にした回路にスキがないブラックスライムが基板に実装されている可能性が高いため、最悪サーキットベンディングできない可能性があります。
このギター型のおもちゃはいかにもサーキットベンディングできそうでしたが、残念ながら、ピッチベンドのための抵抗すら見当たらず、黒い樹脂(私はブラックスライムと呼ぶ)のみでした。
心配なときは、製造年の記載などを確認し、10年以内につくられた製品は避けるほうがよいでしょう。昔に造られた製品のほうが部品も大きく、サーキットベンディングがしやすいです。が、入手が年々困難になってきているのも事実です。
逆に言うと、30年前くらいのメロディ―が流れるおもちゃはなんらかのサーキットベンディングできると思います。たぶん。
その他、JASRACのマークがひっそりとついているものは、モノ自体なにかのパクリであったとしても、どなたかの「曲」が流れるおもちゃであることを自白しています。
そもそも電子回路をハッキングするわけですから、電池や電源を用いない打楽器、弦楽器はまた別の世界です。
サーキットベンディングというと、ついついおもちゃや楽器に目が行きそうですが、スピーカーが付いてて音が出れば、こうした目覚まし時計や、たとえば「ピーピーピー、バックします」もサーキットベンディングできるかもしれません。
ちなみにこの目覚まし時計は、このあと壊れました。